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【初心者向け】NDAにおける合意管轄とは?合意管轄裁判所の設定方法を解説!

契約書

契約書における「合意管轄」は重要な内容の一つです。

特に機密情報を取り扱う NDA(秘密保持契約)における合意管轄の設定は、契約違反や情報漏洩といったリスクを未然に防ぐための重要な約束事であり、トラブルが発生した時に話し合いや協議による和解ができなかった時など、契約解除や法的措置が必要となった場合のリスクマネージメントになります。

契約がスムーズに進んでいる時には契約解除や法的措置をとることはありませんが、合意管轄を正しく設定することで万が一の裁判管轄が明確なりますので迅速に対応することができます。

この記事では、適切な管轄裁判所の選択方法や手順について詳しく解説し、実際に起きたトラブル事例やそれを回避するためのポイントを探求します。

また、国際的なビジネスにおける合意管轄の重要性や、法令遵守、守秘義務を含む契約条項における約款の役割にも触れ、読者が安心して契約を結ぶための実用的なガイドラインを提供します。

合意管轄の基本概念からトラブル防止策まで、皆さまの疑問に応える内容をご用意していますので、続きをぜひご覧ください。

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合意管轄とは?

NDAなどの契約書において合意管轄を指定することは、契約違反や情報漏洩などのトラブルが生じたときに、どの管轄裁判所で第一審の訴訟を行うかを事前に合意しておくことです。

NDAだけでなく、全ての契約書の中で明確に記載することが大切であり、合意管轄は当事者間の合意により決定して契約書に明示することで、裁判所が異なる地域や国にまたがる場合でも、特定の裁判所で手続きを行うことを可能にします。

合意管轄が重要な理由

合意管轄が重要な理由は、国や地域によっては法律が異なる場合でも適切な裁判所を事前に合意することで、本質的な問題を解決するための裁判所を巡る予期せぬ紛争を未然に防ぐためです。

特に国際ビジネスにおいては、法律や裁判所の決定が異なるケースがあるため、事前に合意管轄裁判所を定めておくことが重要です。

日本国内においても当事者の所在地が離れている場合など、移動による時間のロスなどがあるため出来るだけ自社に有利な場所を定めておくことが望ましいです。

専属的合意管轄と付加的合意管轄

専属的合意管轄と付加的合意管轄の違いは、指定した裁判所が唯一の裁判所として認められるかどうかにあります。

合意管轄の種類特徴
専属的合意管轄指定された裁判所でのみ、訴訟を起こすことができる
付加的合意管轄指定された裁判所や、それ以外の裁判所でも訴訟を起こすことができる

通常、NDAにおいては合意管轄裁判所を指定することが大半で、第一審の専属的合意管轄裁判を行う裁判所を明記します。

第一審の専属的合意管轄を指定した場合は決められた裁判所以外では訴訟を起こすことができません。

しかし、「専属的」の表現を入れない場合は付加的合意裁判所と見做され、特定の裁判所を指定していても原告がそれ以外の裁判所を自由に決めることができますので、当事者間で事前に合意しておくことが望ましいです。

よくあるトラブルとその回避法

NDAにおけるよくあるトラブルには、合意された裁判所が明記されていないことや、異なる法律体系間での紛争などがあります。

特に国際的な取引を行う場合は、異なる法律体系や裁判官の法令理解を考慮に入れる必要があります。

これを回避するためには、しっかりとした事前準備を行い、契約条項を詳細に決めておくことが不可欠です。

また、実務経験の豊富な法務専門家に相談し、契約内容に潜むリスクを洗い出すことで、トラブルの発生を効果的に防ぐことができます。

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合意管轄の設定手順

合意管轄を設定するためには、いくつかの必要な手順を踏むことが重要です。
以下の点に注意して合意管轄の裁判所を設定します。

設定ポイント
  1. 地理的条件
  2. 公平性
  3. 判決の執行力

当事者が同一の都道府県の場合はお互いに同じ合意管轄裁判所で問題となることは殆どありませんので、自社の本社所在地を管轄する裁判所に設定します。

しかし、当事者の本社所在地が遠く離れている場合など、一方に近い場所を設定すると他方当事者にとっては不利となる場合があります。

また、国際取引を行う場合は準拠法が異なるため、日本の裁判所の判決が当事者の国でも有効となるか注意が必要であり、被告が海外の企業の場合は相手先当事者の国の裁判所で行う必要があります。

そのような場合には次の被告地主義を採用することが一般的です。

被告所在地の裁判所を設定する場合(被告地主義)

合意管轄裁判所は一つに限定されるわけではありません。

当事者の本社所在地が同一でない際の公平性を鑑みた場合や、日本の裁判所の判決に対する法的拘束力がない国の当事者との国際取引を行う場合などは、被告の本社所在地を合意管轄とすることができます。

例えば、日本と中国との間では互恵関係が結ばれていませんので、日本の裁判所の判決を中国で強制執行することはできません。

その場合は、被告となる当事者の本社所在地を管轄する国の裁判所を合意管轄裁判所とすることで、お互いの国や地域、また準拠法に適合させることができます。

第三国の裁判所を設定する場合

国際的な取引を行う場合は、当事者の国以外の第三国を合意管轄裁判所に設定することもできます。

第三国を合意管轄裁判所にすることで被告地主義よりもさらに公平になるだけでなく、いずれの当事者もよく知らない国で裁判を行わなければならなくなるという負担を負うことにより、当事者双方にとって好ましくないという事態も想定されるため訴訟の抑制になります。

ただし、第三国の裁判所によっては管轄を否定することもありえますので、事前にしっかりとした調査と当事者による合意形成が必要です。

仲裁機関を設定する場合

国際的な取引事案でトラブルになった場合は、裁判による解決を行う以外に仲裁機関を利用した和解を行うことも多く、和解により紛争解決の効率性を高めます。

仲裁機関を使った和解の場合は当事者の公平性を保つために第三国を設定することも多くなります。

上記の例に挙げた日本と中国との間で仲裁を行った場合は、ニューヨーク条約に加盟しているため仲裁結果に基づいた執行を行うことができます。

なお、日本の代表的な仲裁機関には一般社団法人 日本商事仲裁協会(JCAA)があり、仲裁地を日本(東京)や第三国にすることが可能です。

詳しくはJCAAのホームページでご確認ください。

一般社団法人 日本商事仲裁協会 JCAA
JCAA(日本商事仲裁協会)は70年の歴史のある商事仲裁機関です。日本で唯一、ATAカルネ、SCCカルネの発給と保証を行...
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合意管轄設定時の注意点

合意管轄の設定においては、事前に設定された合意管轄が不明確であったり、異なる法律体系との摩擦が生じたりすることがありますので以下の点には注意してください。

異なる法律体系による問題

合意管轄が異なる法律体系に基づく場合、法律解釈の食い違いが生じて法的措置が複雑化することがあります。

特に国際取引においては、複数の法域が関与するため、法律用語や手続が異なることが多く、合意形成が困難になることがあります。

これを回避するため、弁護士などによる法律の専門家の助言を求め、契約書には準拠法及び裁判管轄について詳細に規定し、相手方も理解した上で合意することが不可欠です。

裁判所の負担や遅延

指定された裁判所が過度に混雑している場合、紛争解決に時間がかかる可能性があります。
これにより、解決の迅速性が損なわれることがある点について理解しておく必要があります。

合意により特定の裁判所に限定されることで裁判所を巡る無用な争いを避けることができますが、状況の変化に柔軟に対応することが難しくなります。

訴訟金額が少額(140万円以下)の場合は簡易裁判所を使うことができますので、金額に応じて簡易裁判所や地方裁判所を選べるようにしておくことで遅延リスクを少しでも低減することが可能です。

ただし、専属的合意管轄が有効な場合でも一定条件を満たすと他の裁判所に移送されること可能な場合がありますので、状況に応じて弁護士に相談することが望ましいです。

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まとめ

NDA における合意管轄は、トラブルが発生した時に話し合いや協議による和解ができなかった時など、契約解除や法的措置が必要となった場合のリスクマネージメントに必要な重要事項です。

万が一、紛争が発生した場合でも適切な裁判所を事前に合意することで、本質的な問題を解決するための裁判所を巡る予期せぬ紛争を未然に防ぐことができますので、解決に向けて迅速に対応することができます。

また、国や地域による法律の違いに応じて自社に不利益とならない適切な合意管轄裁判所を設定し、訴訟金額が140万円以下の場合に手続きが簡便な簡易裁判所を使えるようにしておくことが望ましいです。

初めて NDA を作成する初心者はこの記事を参考に事前に弁護士に相談してみてはいかがでしょうか?

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気になる人はチェックしてみてください。

最後まで読んで頂きありがとうございました。
ではまたね〜。

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