“Tensor Core”は、NVIDIAのGPUに搭載された行列演算専用の演算ユニットです。
AIモデルの学習や推論では、膨大な行列の積和演算(Multiply-Accumulate)が繰り返されますが、Tensor Coreはこの処理を1クロックで完了できるように設計されています。
Tensor Coreは「AIモデルの心臓部」である行列演算を、従来のCUDAコアより桁違いに高速化するための専用ユニットです。
この記事ではNVIDIAのGPUの心臓部である、Tensor CoreについてCUDAコアとの違いや関係性を解説します。
🧠 Tensor Coreの特徴|なぜAIに最適なのか?
GPU(Graphics Processing Unit)は、もともと画像や映像を高速に描画するための専用プロセッサです。
AIモデルの学習や推論では、膨大な行列の積和演算(Multiply-Accumulate)が繰り返されるため、この処理を1クロックで完了できるのがTensor Coreの特徴です。
- 混合精度演算(Mixed Precision):
FP16やFP8などの低精度演算を使いながら、FP32で結果を蓄積することで、精度と速度のバランスを実現。 - Transformer Engine:
GPT系などのLLMに最適化された演算モードを搭載(Hopper世代以降)。 - FP4/FP6対応:
Blackwell世代ではさらに低精度演算に対応し、推論効率が飛躍的に向上。
Tensor Coreも世代ごとに進化しており、第四世代のHopperでLLMに最適化し、第五世代のBlackwellではFP4/FP6にも対応し、推論効率が飛躍的に向上しました。
世代 | アーキテクチャ | 主な特徴 |
---|---|---|
第1世代 | Volta | FP16演算に特化 |
第2世代 | Turing | INT8/INT4対応、推論強化 |
第3世代 | Ampere | TF32、構造的スパース性 |
第4世代 | Hopper | FP8、Transformer Engine |
第5世代 | Blackwell | FP4/FP6、第2世代Transformer Engine |
つまり、Tensor CoreはAIの“心臓部”として、モデルの学習・推論を支える演算エンジンです。

🧠 CUDAコアの本質|GPUを汎用計算に変える
CUDA(Compute Unified Device Architecture)は、NVIDIAが開発したGPUを汎用計算に活用するためのプラットフォームです。
C/C++ベースでGPUを直接制御できるため、AIや科学技術計算などの並列処理を最大限に活かすことができます。
それによりGPUの並列性を最大限に活用することができ、数千のスレッドを同時に動かすことで、CPUでは不可能な演算を可能になります。
また、開発者向けエコシステムのcuBLAS、cuDNN、TensorRTなどのライブラリが充実しています。
PyTorchやTensorFlowはCUDAベースで動作しますので、CUDAなしではAIフレームワークとの連携ができないため、GPUをうまく活用ができません。
項目 | CUDAコア | Tensor Core |
---|---|---|
用途 | 汎用演算(グラフィックス、物理演算など) | 行列演算(AI学習・推論) |
精度 | FP32中心 | FP16/TF32/FP8/FP4など混合精度 |
処理速度 | 高速(並列処理) | 超高速(積和演算に特化) |
対象分野 | ゲーム、映像、科学技術 | AI、LLM、HPC、DLSSなど |
つまり、CUDAはGPUの“神経系”として、演算ユニットを制御する司令塔です。

📚 まとめ|Tensor CoreとCUDAはAI時代の“司令塔と心臓”
CUDAはGPUを汎用計算に活用するための制御プラットフォームで、Tensor CoreはAI演算に特化した超高速演算ユニットです。
両者は密接に連携し、AIモデルの学習・推論を支えあっており、CUDAとTensor CoreはAI時代の“司令塔と心臓”です。
- CUDAはGPU全体の制御と並列処理の枠組み。
- Tensor CoreはCUDAの中でAI演算を担う専用ユニット。
- Tensor Coreを使うには、CUDAのAPIやライブラリ(cuDNNなど)を通じてアクセス。
CUDAとTensor Coreの役割と関係とまとめると次のようになります。
視点 | Tensor Core | CUDA |
---|---|---|
役割 | AI演算の高速化 | GPUの制御と並列処理 |
対象 | 行列演算(学習・推論) | 汎用演算(AI、科学、映像) |
関係性 | CUDA経由で制御される演算ユニット | Tensor Coreを含むGPU全体を制御 |
Tensor Coreは、2017年のVolta世代から登場し、AIモデルの学習・推論を劇的に高速化し、AIの進化に欠かせません。
NVIDIAはこれからもこの高性能な超並列演算ユニットを発展させていくことでしょう。

このサイトは Xserver で運用しています。
気になる人はチェックしてみてください。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
ではまたね〜。